皆さんこんにちは。MSWで相談支援専門員をしている【 はしもと 】です。
障害や発達に特性のあるお子さんを育てていると、進学の節目ごとに「この子に一番合う場所はどこだろう?」と、大きな選択を重ねていくことになります。
なかでも、小学校への就学ははじめて道が大きく分かれるため、特に迷いやすい場面かもしれません。
就学が近づくとわが子の未来を左右する選択を前に、不安で押しつぶされそうになりますよね。
「支援学校か、地域の学校か」を考えるとき、IQや障害の程度が一つの目安として語られることがあります。でも、それだけで就学先が決まるわけではありません。
私の長女はIQ20ですが、地域の小学校の特別支援学級に在籍しています。
入学当初は毎日学校に付き添って過ごすなど超えるべき壁もたくさんありました。でも選んでよかったと心から思っています。
就学先や在籍するクラスを決める際、周囲の意見や一般的な基準に流される必要はありません。一番大切なのは後悔しない選択のために自ら足を運び、現実と向き合いながら悩み抜くことです。
悩み抜いて決めた覚悟はわが子の未来を切り拓く強い力になります。
迷ったときは一人で抱え込まず、いろいろな方の意見に耳を傾けながら一歩ずつ歩んでいきましょう。
就学について知っておきたいこと
就学先には、大きく4つの選択肢があります。
小学校以降の就学先には
- 通常学級
- 通級指導教室
- 特別支援学級
- 特別支援学校
の4つがあります。
このうち「通常学級」「通級指導教室」「特別支援学級」は地域の小学校に設置されており、「特別支援学校」は独立した学校です。
通常の学級
普通級、通常級と呼ばれたりもします。個別に支援はございませんが、必要に応じて学校と相談をすることも可能です。
通級による指導(通級指導教室)
通常の学級に在籍しながら、月に数回(週に1回程度)、個別に時間を設定し支援を受けます(マンツー~少人数での活動)。
特別支援学級
地域の小・中学校の中にあり、少人数(6名前後が多い)クラスで、情緒クラス・知的クラス・病弱クラス・身体クラスなど、障がいや成長発達の特性に応じてクラス分けを行っております。
特別支援学校
学校全体で特別支援教育を行い、少人数クラスに担任も2名体制で専門性の高い支援と学習・生活指導等を行っています。
特別支援学級とは
私の娘はこの特別支援学級に在籍しています。
特別支援学級は一般の学校の中にあり、学習・行動・コミュニケーションなどに特別な支援が必要な子どもが通う1クラス上限8人の少人数学級です。
通常学級(現在は35人が標準)と比べ、一人ひとりに手厚い支援が期待できます。
障がい種別ごとに知的障がい、自閉症・情緒障がいなど複数の区分があります。
学校によって設置されている区分は異なるため、希望する学級があるか事前に確認しておくと安心です。地域の学校に在籍するため、通常学級の子どもたちとの交流及び共同学習の機会があるのも特徴です。
どうやって選んだらいい?
就学先はIQや診断名で機械的に決まるものではありません。
判断の軸は「その子が一番学びやすく、過ごしやすい環境はどこか」の一点です。
次のようなことを天秤にかけて考えてみてください。
- 支援の手厚さ・専門性 と 地域とのつながり のバランス(支援学校は手厚い専門的支援、通常学級・支援学級は地域の子との関わり)
- 将来どんな生き方をしてほしいか(支援学校は就労・生活スキル、支援学級は地域での生活・進学を見据えたカリキュラムが多い傾向)
- 今の子どもの状態と、どんな配慮があれば学びやすい・過ごしやすいか?
- 毎日のことなので、通学のしやすさ・距離も現実的な材料に
そして一番大切なのは、実際に見学・体験に行ってみることです。
迷っている場合は、支援学級と支援学校の両方を見ておくと安心です。
学校見学は教育委員会が手配してくれるわけではなく、自分で問い合わせが必要なことが多いので、早めに動くとスムーズです。
あわせて園・療育・医療機関など複数の専門家の意見を聞き、診断書・療育手帳・発達検査の結果があれば持参して、子どもの特性や必要な配慮を整理して伝えましょう。
ご両親や祖父母で意見が割れると方針が立てにくくなるので、まず家族の中で考えを揃えておくこともおすすめします。
発達検査の数値はその日の体調で波が出ることもあります。「そのときの目安」として受け取るくらいがちょうどよいです。
そして「一度決めたら6年間変わらない」わけでもありません。
発達や適応の状況を見ながら転籍もできるようになってきています(ただし年度途中の転籍は難しいことが多いので、迷いは就学相談の場で十分に話しておくと安心です)
どんな流れで進むの?
意外と知られていないのですが、就学相談は自動で案内が届くものではなく基本は保護者からの申し込みで始まります。
「相談してみては?」と勧められるきっかけは、乳幼児健診(1歳半・3歳児健診など)、園の先生の気づき、療育・児童発達支援の利用の中で、あるいは就学時健康診断など。
まずはお住まいの市町村教育委員会の相談窓口に、電話や来所で相談するのが入口です。入学の前年度(年長の1年間)の、一般的な流れは次のとおりです。
| 時期 | 主な内容 |
|---|---|
| 春(4月頃) | 教育委員会・教育センターによる就学相談説明会。この頃から相談がスタート |
| 春〜夏 | 就学相談の申し込み・面談(複数回)。年長になったら早めに(夏休みごろまでが目安) |
| 夏〜秋 | 発達検査・知能検査、行動観察、学校見学・体験入学 |
| 秋(10〜11月頃) | 就学時健康診断、教育支援委員会による総合的な判断 |
| 冬(1月末まで) | 教育委員会から就学先の通知 → 学校との面談を経て、4月に入学 |
最終的に決めるのは教育委員会ですが、本人・保護者の意向を最大限に尊重する仕組みです。
相談したからといって必ず特別支援学級になるわけではなく、判断が希望と一致しなかった場合は相談を継続できます。保護者が決定に同意できないときは、教育委員会に申し立てることもできます。
年長だけでなく、年中・年少から相談を受け付けている自治体もあります。
相談支援専門員は、就学先選びに関わるの?
私たち相談支援専門員は就学先そのものを決める立場ではありません(決めるのは教育委員会です)
相談支援専門員は児童発達支援や放課後等デイサービスなどの利用計画をつくり、支援を調整するのが本来の役割です。
でも、子どもと家庭を継続的に知っている立場だからこそ、就学相談に向けて希望や必要な配慮を一緒に整理したり、卒園から就学への引き継ぎで情報をつないだり、就学後の「学校・放課後等デイサービス・家庭」を一つの支援としてつなぐ、伴走役になれます。
また、就学準備として「サポートシート」というものがございます。
学校生活において、お子さんにとって必要と考えられる支援について学校と共有するツールとなりますので、相談員や関係機関とともに一緒に作成のお手伝いをすることができます。
国も「家庭と教育と福祉の連携」を進めており、教育と福祉が切れ目なくつながることが目指されています。どこに相談したらいいか分からないときの入口としても、どうぞ遠慮なく声をかけてください。
迷ったときの相談先
一人で抱え込まず、お住まいの市町村教育委員会の就学相談窓口、園や学校の先生、連絡調整役である特別支援教育コーディネーター、そして私たちのような相談支援事業所にもぜひご相談ください。
※就学相談や特別支援教育の運用は、自治体によって手続きや窓口、日程、特別支援学級の設置区分などの細部が異なります。実際に検討される際は、お住まいの市町村の教育委員会(筑紫地区であれば筑紫野市・春日市・大野城市・太宰府市・那珂川市の各教育委員会)の最新の案内を必ずご確認ください。この記事は一般的な制度の枠組みをお伝えするもので、個別の判断に代わるものではありません。


